昆虫食関連論文メモゴキブリ編「飼料としてのゴキブリの栄養価について」
動物用飼料として使用される3種のゴキブリの栄養価について
今日では動物の餌として適した昆虫は150種以上が市販されており、うち60種以上の栄養価が公表され、個々の動物の要求に応じて与える昆虫の種類が選びやすくなっている。
ただし昆虫の発育段階による栄養組成の違いに関しては、ヨーロッパイエコオロギなど限られた種でしかデータが得られていない。そこで本研究ではアルゼンチンモリゴキブリ(以下デュビア)、トルキスタンゴキブリ(以下レッドローチ)、Blaberus discoidalis(以下ブラベルス)の3種を対象に、亜成虫(成虫になる直前の段階)と成虫の栄養価の違いを比較した。
試料をそれぞれ27℃下でドックフードとパン、野菜・果物くずを用いて飼育し、それぞれ亜成虫と成虫を性別ごとに20~40匹無作為に選び、その平均重量と栄養組成を求めた。
平均重量は3種全てにおいて雌成虫>雌亜成虫>雄成虫>雄亜成虫であった。
3種全てにおいて成虫は亜成虫と比較してタンパク質量が多く、脂質と灰分は少ないことが確認された。
必須アミノ酸スコアにおいては亜成虫・成虫ともにブラベルスが最も優れており、リジンとバリンで特に高い値を示した。
脂肪酸においては3種全てにおいてオレイン酸(オリーブオイルなどに含まれるもの)が特に多く含まれた。一方オレイン酸を含めた総不飽和脂肪酸量には種差があり、ブラベルスの亜成虫、デュビアの成虫・亜成虫で優れていた。
動物におけるカルシウムの吸収に重要なリン・カルシウム比については、乾燥重量においてレッドローチが最も優れていた(成虫においてその比はCa:P=1:1.9、亜成虫において1:1.8。理想はCa:P=1:1~2とされる)。
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